ラビリンスシールとは
ラビリンスシールとは、回転軸とハウジングの間に設置される非接触型のシールのことです。 軸受や歯車などの潤滑油に異物が混入したり、潤滑油が漏れたりするのを防ぐために使用されます。
「ラビリンス」は英語で「迷宮」を意味し、シール内部に複雑な構造を持つことからこの名前が付けられました。この複雑な構造が、流体の漏れ経路を長く複雑にすることで、シール性を高める役割を果たします。オイルシールやOリングのような接触型のシールとは異なり、回転部と固定部が非接触である点が大きな特徴です。
ピーエヌ機電のラビリンスシール製作事例

CNC旋盤の高い加工技術と、銅ニッケル合金の優れた特性を活かすことで、高品質なラビリンスパッキン環を提供しています。30t×φ260×φ168というサイズは、様々な用途に対応できる汎用性を備えています。材質には銅ニッケル合金を採用し、耐腐食性と耐摩耗性に優れています。±0.02㎜という高精度は、精密なシール性能を実現し、流体の漏れを最小限に抑えます。
ラビリンスシールの種類
| タイプ | 材質 | 形状 | 用途例 |
|---|---|---|---|
| Lタイプ / Mタイプ | 軟鋼(内輪)、アルミ合金(外輪) | 2~3山のラビリンス溝を持つ一体型 | 高速回転用途 |
| ギャップシール | 軸受のシール | ||
| CFシール | クロム鋼(S10)、アルミニウム(A0) | コンパクト | 主軸用 |
| ベアリングアイソレータ | ベアリングの保護 | ||
| 薄形ラビリンスリング | 省スペース用途 |
Lタイプ / Mタイプ: 軟鋼製の内輪とアルミ合金製の外輪で構成され、2~3山のラビリンス溝を持つ一体型のシールです。4 Mタイプはドレイン溝を持ち、シール内に浸入した液体を遠心力を利用して外部に排出する機能を備えています。また、機械内部からの潤滑油の流出防止には、ドレインからハウジングに設けた戻り孔より内部に戻すことも可能です。
ギャップシール: 軸受とハウジングの間に微小な隙間を設け、その隙間を迷路状にすることでシール性を高めたものです。
CFシール: 主軸用として設計されたコンパクトなシールで、厚さわずか6mmでありながら高いシール性能を実現しています。精密アンギュラ軸受用(CF60シリーズ、CF619シリーズ)と深溝玉軸受用(CF62シリーズ)があり、それぞれ軸受の形式に合わせて選定できます。
ベアリングアイソレータ: ベアリングの外輪に装着することで、ベアリングを外部の汚染物質から保護するシールです。
薄形ラビリンスリング: 限られたスペースに設置できるよう、薄型に設計されたシールです。
ラビリンスシールの仕組み
ラビリンスシールは、回転軸と固定部の間に複雑な迷路状の経路を設けることで、流体の漏れを抑制します。流体がこの迷路状の経路を通過する際に、流体の圧力が段階的に低下し、速度が減少することで、漏れ量が最小限に抑えられます。
また、シール内部から異物を排出するために、遠心力、重力、圧力差を利用しています。特に粉体のような質量の小さい異物をシールする場合は、エアーパージと呼ばれる方法でシール性を高めることがあります。これは、シール内部にエアーを供給することで、内部の圧力を高め、異物を外部に押し出すというものです。
ラビリンスシールの用途例
ラビリンスシールは、様々な産業分野で幅広く使用されています。
ポンプ
ラビリンスシールは、遠心ポンプなどのポンプの軸受部に使用され、潤滑油の漏れや異物の侵入を防ぎます。
特に、高速回転するポンプや、高温・高圧の流体を扱うポンプに適しています。
タービン
ガスタービンや蒸気タービンなどのタービンにもラビリンスシールが使用されます。
タービンは高速回転するため、摩擦や摩耗が少ないラビリンスシールが有効です。
コンプレッサー
遠心コンプレッサーなどのコンプレッサーにもラビリンスシールが使用されます。
高圧の気体を扱うコンプレッサーでは、シール性能が重要になります。
コンベア
スクリューコンベアやベルトコンベアなどのコンベアにもラビリンスシールが使用されます。
コンベアは、粉体や粒体などの搬送に用いられるため、異物の侵入を防ぐ必要があります。


