高力黄銅とは

銅55.0~60.5%の黄銅にアルミニウム2.0%以下、マンガン3.0%以下、鉄1.5%以下を加えた合金のことを呼びます。 強度、硬度、鋳造性に優れ、船舶用プロペラ軸やポンプ軸などに用いられます。

高力黄銅の特徴

● 機械的性質が良い
● 耐摩耗性に優れている
● 熱伝導性に優れている
● 鋳造性が良好である
● 価格が比較的低廉である

高力黄銅の主な用途

ナット/歯車/耐磨耗板/低速高荷重摺動部品/大型バルブ/ステム/ブッシュ(軸受)/カム/水圧シリンダ部品/圧延機用スリッパ等/建設機械用部品

高力黄銅の切削性や加工時の注意点

高力黄銅は、鋳造加工、熱間鍛造加工などによく利用されますが、いずれの加工を施した後であっても被削性を失いません。高力黄銅の切削条件は、一般的な黄銅の加工とほとんど同じ条件で特に問題ないでしょう。

高力黄銅のドリル加工は、一度削ると刃がどんどんと食い込んでしまう場合があります。そのため、ドリル加工の場合は刃先形状をネガティブにした黄銅用ドリルを利用するのがおすすめです。

切削油は、面粗度を要求する場合は不水溶性のものを使用しますが、切削湯を使用しないドライでの加工も問題なくできます。

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高力黄銅の種類

名称主な特徴用途
CAC301
(旧JIS記号:HBsC1)
黄銅鋳物より強さ及び硬さに優れ、耐食性及びじん性も優れています。船用ぎ装品、船用プロペラ、軸受、レバー、バルブ部品
CAC302
(旧JIS記号:HBsC2)
CAC301よりも機械的性質に優れ、耐摩耗性にも優れています。船用プロペラ、軸受、エンドプレート、一般機械部品、特殊シリンダ部品
CAC303
(旧JIS記号:HBsC3)
CAC302より強さ、硬さ及び耐摩耗性が優れています。低速高荷重の摺動部品、大型バルブ、水圧シリンダ、一般機械部品
CAC304
(旧JIS記号:HBsC4)
高力黄銅の中で強さ及び硬さが最も優れ、高荷重でも耐摩耗性が優れています。低速高荷重の摺動部品、軸受、耐摩耗板、一般機械部品
YMB弊社オリジナルの高力黄銅系材料です。アルミ青銅(ALBC)よりも耐力が高く、また耐食性もアルミ青銅(ALBC)に遜色がないというのが大きな特徴となっております。建設機械用摺動部品、船舶用部品、大型トレーラー用カブラー部品、ウォームホイル、歯車類
YMB-4弊社オリジナルの高力黄銅系材料です。
YMB合金よりも強さ、硬さ及び耐摩耗性が優れています。
建設機械用摺動部品、ウォームホイル、歯車類
YRW弊社で製造している高力黄銅(YMB)より耐摩耗性に優れるオリジナルの高力黄銅系材料です。
耐摩耗性を向上させる為にシリコンを添加しています。YRWはマンガンケイ化物をマトリックス中に分散させ、その潤滑効果によって耐摩耗性向上を狙った材料です。
低速高荷重の摺動部品、ジャッキ、ウォームホイル、歯車類

高力黄銅の特性

名称硬度引張
強度
耐力伸び導電率比抵抗熱伝
導率
比熱密度衝撃値
CAC301
(旧JIS記号:HBsC1)
HBW 137 (10/3000)450 N/mm2140 N/mm20.250.227.81 μΩ/cm99 W/m.K0.09 cal/gm/℃ (20℃)8.3NA
CAC302
(旧JIS記号:HBsC2)
HBW 137 (10/3000)430 N/mm2175 N/mm20.180.19NA88 W/m.K0.09 cal/gm/℃ (20℃)8.2NA
CAC303
(旧JIS記号:HBsC3)
HBW 167 (10/3000)635 N/mm2305 N/mm20.150.0822.7 μΩ/cm50 W/m.K0.09 cal/gm/℃ (20℃)7.85NA
CAC304
(旧JIS記号:HBsC4)
HBW 216 (10/3000)755 N/mm2410 N/mm20.120.0821.7μΩ/cm50 W/m.K0.09 cal/gm/℃ (20℃)7.84NA
YMBHBW 165 (10/3000)700 N/mm2450 N/mm20.190.0822.7 μΩ/cm50 W/m.K0.09 cal/gm/℃ (20℃)7.9NA
YMB-4HBW 216 (10/3000)770 N/mm2510 N/mm20.220.0821.7 μΩ/cm50 W/m.K0.09 cal/gm/℃ (20℃)7.9NA
YRWHBW 162 (10/3000)770 N/mm2600 N/mm20.10.08NA50 W/m.KNA7.9NA